今年はどうだった?2022年産モズクの生産量

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こんにちは。

最近は少し涼くなって、過ごしやすくなりましたね。
この時期から、来年のモズクの栽培が始まっていきます。

今年のモズクのシーズンは終わっていますが、
収穫が終わったタイミングで、毎年その年のモズク生産量が発表されます。

今回は、沖縄県もずく養殖業振興協議会より発表された、
今年のモズク生産量の集計結果についてまとめてみました。


はじめに

モズクの栽培は、秋ごろに始まって、春に収穫を行います。
網の手入れなどの作業を含めると、一年を通してモズクの漁師さんは作業をしています。

沖縄県もずく養殖業振興協議会は、県内の漁協や企業・自治体から構成され、
モズクの生産量の調査や、消費拡大に向けた取り組みを行なっています。
毎年8月に、協議会からその年に収穫されたモズクの生産量や、来年の目標などが発表されます。

生産量の集計は、本モズク(オキナワモズク)と、イトモズクの2種類が報告されていますが、
ここでは、本モズク(オキナワモズク)をピックアップして紹介いたします。




2022年産の生産量は、約1万5,000トン!

2022年産のオキナワモズク生産量は、『1万5,538トン』となりました。
目標は1万8千トンと設定していましたが、その86%にとどまる結果となりました。

下のグラフは、1978年(昭和53年)から現在までの生産量の推移をまとめたものです。



1970年代に、モズク栽培技術の研究が積極的に行われてから、
少しずつ生産量が上がっていきました。
1999年(平成11年)以降からは、2万トンを超える年が出てきています。


下のグラフは、過去5年間のモズク生産量を漁協別にまとめたものです。
地域ごとでは、勝連漁協が一番多く、ついで知念漁協、久米島漁協が多くなりました。

前年から減っているものの、勝連地域の生産量は突出していますね。



生産量を月別に見たものをグラフにまとめてみました。



早いところではごくごく少量ですが12月から収穫され、4月に最盛期をむかえています。
モズクの日が4月にあるのも納得ですね。
その後は、徐々に減ってきて、7月で最後の収穫があったようです。

 

 

軽石の影響で栽培開始に遅れ

今年のモズク生産量は前年よりも2割減ってしまいました。

やはり自然の中で栽培しているものなので、その年の気候(日照不足や台風など)の影響を受け、
特に今年は軽石の漂着といった予想外の出来事があり、モズク養殖に影響が出たとのことです。

モズクの栽培が始まる昨年秋〜年末ごろは、
軽石の漂着・漂流により、
もずくの種付け(陸上の海水プールで網にモズクの胞子をつける作業)をするための取水が
できない地区や、船を出せず、作業が思うように進まない地区が見られました。
同じように、
沖出し作業(モズク胞子をつけた網を海底に張る作業)が進まない地区が見られました。

また、海でモズクを生育させる今年の年明け〜春ごろは、
日照不足の影響でモズクの生育が悪かったり、
台風や梅雨時期の長雨で、モズクが流される地区がありました。
強風、時化の影響で海に出した網がからまってしまうこともありました。

例年よりも、モズク栽培の開始が遅れたりしましたが、
収穫が始まる春ごろに、影響の少なかった網から生育したモズクの収穫が行われたとのことです。


来期の目標

来年(2023年産・令和5年産)のモズク生産量の目標は、『1万7,000トン』と設定されました。

過去最高の生産量は、2020年(令和2年)で、
2万2,356トン(イトモズクも合わせると2万2,916トン)でした。
今年の生産量が少し低かったのもあり、少々低めに設定したと思われます。

自然環境は予測できないですが、モズク漁師さんや関係者を応援しつつ、
来年の結果を待ちたいですね。

まとめ

モズクは自然のものなので、どうしても天候などの影響を受けてしまいますよね。

モズク栽培技術の研究が始まってから現在まで、少しずつ生産量が上がってきたのは、
現在の栽培技術の基礎となる採苗(網に付着させるモズクの胞子を海から採ること)の条件や、
のり網を利用した栽培法が考案されてきたという経緯があります。

現在もモズクの生態などの研究は行われていますので、
さらに生産量が上がる可能性はあると考えられます。

今のこの現状も、モズク栽培の歴史の一部と思うと、
地道でも未来につながっていくのかなーとしみじみ感じる時があります。

では、またの投稿をお楽しみに。

 

参考文献

沖縄県もずく養殖業振興協議会資料、長嶺竹明ほか, オキナワモズクとフコイダンのお話. 沖縄イニシアティブ, 2018

 

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