吸収試験の要!フコイダンの検出方法”ELISA法”の開発

フコイダンのお話

こんにちは。

フコイダンの吸収試験を行うときは、血液や尿に含まれるフコイダン量を測定するのですが、
この測定方法を開発するまでに地道な研究が行われてきました。

現在は「サンドイッチELISA法」という測定方法が確立され、
精度の高い検出を行えています。

今回は、このELISA法という方法をフコイダンの測定に取り入れた
初期の研究をまとめてみました。  

はじめに

海藻に含まれている硫酸化多糖類の一種「フコイダン」は、
海藻の種類によって構造や分子量などが異なります。

さまざまな多硫酸化多糖類を、尿や血しょうから検出する方法が開発されていますが、
経口摂取によるフコイダンの取り込みは、これまで確認されていませんでした。

そこで、ELISA法を使ったフコイダンの検出方法を開発し、
経口摂取後のヒトの血しょう中にフコイダンが検出されるかを調べました。

『ELISA』とは:抗原抗体反応と酵素反応を使って、目的の物質を検出する方法。抗原抗体反応の組み合わせによって、直接法、間接法、サンドイッチ法、競合法などの方法があります。

 

 

試験の方法

まず、抗体を用いたフコイダンの検出方法として、
硫酸化多糖類に反応するモノクローナル抗体(1種類だけの抗体)を作成しました。
この抗体は、ヘパリンやそれに似た成分と反応するため、
フコイダンでも同様に反応するかを調べました。

次に、その抗体を使って実際にヒトの血しょう中からフコイダンを検出しました。

被験者は、20〜46歳の男女。
被験者を3つのグループに分け、プラセボ(対照)として3gのグアーガム、
10%フコイダンを含む3gのガラクトフカン硫酸塩、
75%フコイダンを含む3gのガラクトフカン硫酸塩を、それぞれ12日間毎日摂取しました。 

その後、被験者から静脈血を採取し、
競合ELISA法を使って、血しょう中のフコイダンの濃度を測定しました。

なお、被験者は栄養補助食品や魚介類を摂取しないなど、試験に影響が出ないようにしました。


結果

作成したモノクローナル抗体の、フコイダンに対する反応を調べた結果、
ヘパリンの反応と同様であることがわかりました。
これにより、開発した競合ELISA法で、フコイダンが検出できることが確認できました。



ヒトの血しょう中のフコイダン濃度をこの方法で調べた結果、
経口摂取した後のフコイダン濃度の中央値は、
プラセボ(対照)としてグアーガムを摂取した被験者は-0.28mg/lでした。

10%フコイダン、75%フコイダンを摂取した被験者は、
それぞれ4.00および12.99mg/lでした。




下のグラフは、フコイダンを摂取して4、8、12日目のフコイダン濃度を調べたものです。
摂取したフコイダンが多いほど、血しょう中のフコイダン濃度が高くなりました。


 

考察

これらの結果から、今回開発した競合ELISA法は、フコイダンを検出することができ、
血しょう中のフコイダンも検出することができました。

しかし、この抗体は”硫酸化多糖類”に対して反応するため、
フコイダンだけに反応するわけではありません。

血しょう中の測定値が上がったのは、
フコイダンではなくヘパリンなどの他の硫酸化多糖類が増えたからという可能性も考えられます。


まとめ

今回は、「競合ELISA法」でフコイダンの検出を試みた研究ですが、
現在は、フコイダンの検出精度を高めるため、
「サンドイッチELISA法」という方法が採用されています。

検出の精度が上がると、フコイダンが体に吸収されたのか、
その後にどういう動きをするのかが詳しくわかるので、
フコイダンの生理活性の研究にもつながりますね。

最新の分析方法とかも今度紹介できたらなと思います。


では、またの投稿をお楽しみに。  


参考文献

A Quantitative Method to Detect Fucoidan in Human Plasma Using a Novel Antibody, M.R. Irhimeh et al, Methods Find Exp Clin Pharmacol 2005, 27(10): 705-710  ※一部図を抜粋し日本語に編集。

 

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