モズク消化後もフコイダンは吸収される!モズクの摂取試験

フコイダンのお話

こんにちは。

モズクからフコイダンを抽出して、フコイダン摂取試験に使うことはよく行われますが、
モズクを食べて、モズクが消化された後にフコイダンは体に吸収されるのでしょうか。
今回は、モズク摂取後の尿中フコイダンを調べた研究についてまとめてみました。

 

はじめに

高分子量のフコイダンは、人間の消化器系にほとんど吸収されないと長い間信じられてきました。
モズクから抽出したフコイダンの腸管吸収は、ヒトとラットで実証されています。
しかし、モズクの消化後にモズクに含まれるフコイダンが吸収されるかどうかは不明です。

そこで、モズクの腸内消化とフコイダンの吸収を解明するために、オキナワモズクの経口摂取前後の尿中フコイダン濃度を調べました。


 

試験方法

沖縄県のボランティア48名(男性34名、女性14名)と、群馬県のボランティア38名(男性17名、女性21名)に、オキナワモズク100g(フコイダン約1gを含む)を摂取させ、オキナワモズク摂取の0、3、6、9時間後に尿を採取しました。

採取した尿に含まれるフコイダンはELISA法を使用して測定しました。
ボランティアは、この研究の24時間前から海藻および海藻由来製品の摂取を控えました。
また、オキナワモズク摂取前に尿中フコイダンが10ng/mLを超えていた人は除外されました。

『ELISA法』とは:Enzyme-Linked Immunosorbent Assay の略。抗原抗体反応を利用して、特定の物質を検出・定量する方法。ELISA法を使用することで、不純物が多く含まれる試料でも高感度で特異的にフコイダンを検出・定量することができます。 

 

結果

オキナワモズク摂取前の尿中フコイダン

オキナワモズク摂取前の尿中フコイダンの濃度は、オキナワモズク摂取前日に海藻を食べなかったにもかかわらず、沖縄県のボランティア48人中14人で尿中フコイダン(>10ng/mL)が検出され、3人で20ng/mL以上の濃度が検出されました。

一方で、群馬県のボランティアでは尿中フコイダンは検出されませんでした。

 

オキナワモズク摂取後の尿中フコイダン

オキナワモズク摂取後、沖縄県のボランティアでは、3時間後に1名、6時間後に5名、9時間後に4名、尿中フコイダン濃度が検出されました。
フコイダンの最高濃度は37.2ng/mLでした。



一方、群馬県のボランティアでは、3時間後に1名、6時間後に7名、9時間後に17名で尿中フコイダン濃度が検出されました。
1名を除いて全てのフコイダン濃度が20ng/mL未満でした。


考察

オキナワモズクを経口摂取した後、尿中フコイダンが検出されたことから、
フコイダンはオキナワモズクの消化後に吸収される可能性があることが示されました。

以前の研究で、1gの精製フコイダン摂取後に被験者のフコイダン濃度が血清と尿で上昇したことが示されています。この時のフコイダン濃度は、血清で最大100ng/mL、尿で1,000ng/mLに増加しました。
今回の研究では、尿で最大37.2ng/mLに増加しました。

この2つの結果を比べると、尿中フコイダン濃度は「精製フコイダン1g」よりも「フコイダン約1gを含むモズク100g」を摂取した方が低くなりました。
これは、胃腸管によるモズクの消化が関係していると考えられています。

 

まとめ

今回の研究で使ったのは、精製されたフコイダンではなく、モズクそのもの。
モズクを食材として食べても、フコイダンが吸収されることが証明されました。
沖縄県民と群馬県民で尿中フコイダンに違いがあったのは、モズクを食べる習慣があるからなのではと考えられています。

フコイダンは構造的に完全な形状を保つことで、その生理活性がより働くと考えられています。
モズクがどのように消化され、どのような形で吸収されているのか、精製フコイダンを摂取する場合とどう違うのか、などなど興味深く感じました。

では、またの投稿をお楽しみに。

 

参考文献

Detection of Fucoidan in Urine after Oral Intake of Traditional Japanese Seaweed, Okinawa mozuku (Cladosiphon okamuranus Tokida), TOKIDA et al, J Nutr Sci Vitaminol, 63, 419-421, 2017

イメージテキスト

本場・沖縄県で、オキナワモズクやフコイダンの生産と研究開発に積極的に取り組むサウスプロダクトが、その魅力や特性を科学的にわかりやすくご紹介。
産地ならではのLive感いっぱいで、お届けします。