摂り過ぎても大丈夫?フコイダンの過剰摂取試験の研究

フコイダンのお話

こんにちは。

モズクに含まれるフコイダンは健康に役立つことは知られていますが、”摂り過ぎ”になるラインってどこでしょうか?

今回は、フコイダンをたくさん摂取しても安全なのかを調べた研究(フコイダンの過剰摂取安全性試験)をまとめてみました。

 

はじめに


オキナワモズクなどの海藻にはフコイダンと総称される多糖類が含まれており、さまざまな生理活性が報告されています。

フコイダンはサプリメントや飲料などの健康食品に使用されることが増えることで、多くの消費者がフコイダンを摂取する機会が増加すると予想されています。
それにしたがって、フコイダンの安全性への関心も高まることも考えられています。

そこで、フコイダンの過剰摂取安全性試験が実施されました。

参考にした論文は、過剰摂取安全性試験だけでなく、フコイダンを長い期間摂取したときの安全性を調べた研究(長期摂取安全性試験)も行なっていますが、今回は”過剰摂取”に焦点を当てて紹介します。

 

試験の方法

被験食品と被験者

被験食品には、オキナワモズク由来フコイダン1000mg/50mLを配合した飲料を用いました。
対照食品はフコイダンが入っていない飲料50mLを用いて、外観を被験食品と差が出ないように調整しました。

被験者は、20歳以上〜65歳未満の健康な男女。
年齢以外にも、排便回数や食事が規則正しいかなども被験者の選択基準としました。

今回は、それぞれ1日2本(100mL)の飲料を摂取させました。
フコイダン群は、フコイダン2000mg/日を摂取することになります。

 

試験スケジュール

被験者を2つのグループに分けて、一方を被験食品摂取群(フコイダン摂取群)、もう一方を対照食品摂取群として試験を実施しました。

このとき、被験者の年齢や性別などで有意差が出ないように、ランダムにグループを分けました。
また、どちらの群になるのかを被験者も被験者に飲料を提供する人も分からないようにし、被験者は割り当てられた群の飲料のみを摂取しました。

このような様々な条件を設定した方法を、
「プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験」といいます。

この試験方法は、過去にご紹介した「モズク由来フコイダンがNK細胞に与える影響」を調べた研究で用いた方法と同じです。




試験期間は、①前観察期間(2週間)、②摂取期間(4週間)、③後観察期間(2週間)の3期間を設定し、8週間かけて実施しました。


 

安全性の評価

フコイダンの摂取開始日、摂取後2週目と4週目に、①問診、②身長・体重・BMI、③血圧・脈拍数、④血液学検査、⑤生化学検査、⑥尿検査を実施しました。

また、自他覚症状や有害事象を調査し、検査数値と比較して安全性を確認しました。
さらに、その安全性の判定に後観察期間の測定結果も参考としました。

被験者には被験者日誌を記載させ、その内容も参考に安全性の確認を行いました。

 

結果

30名(男性10名、女性20名)のデータを解析しました。

試験期間中、参加した被験者が試験を中止しなければならない程度に体調を崩したり、重篤な疾病に罹患するなどの異常は報告されませんでした。

問診・自他覚症状および有害事象の結果、有害事象として30症例中4件報告されましたが、それらの有害事象は試験責任医師により被験食品との因果関係は”関連なし”と判定され、問題となる副作用は認められませんでした。

身長・体重・BMI・血圧・脈拍数では、試験期間中に有意な変動は認められませんでした。

血液学検査では、白血球数、赤血球数、ヘモグロビン(赤血球に含まれる赤色素たんぱく質)、LYMPH/白血球像(白血球100個に含まれるリンパ球の割合)、MCV(赤血球1個当たりの平均的な大きさ)、MCHC(赤血球中の平均ヘモグロビン濃度)の項目で有意な変動が認められました。

生化学検査では、アルブミン(主に肝臓で作られるたんぱく質)、γ-GT(タンパク質を分解し肝臓の解毒作用に関与する酵素の一つ)、HbAlc(ブドウ糖が結合したヘモグロビンの割合)の項目で有意な変動が認められました。

尿検査では、有意な変動は認めらませんでした。


考察

日常的に海藻類を食べてきた私たち日本人にとって、フコイダンは安全性の高い成分だと考えられます。

過去にもフコイダンの安全性の研究が行われており、それらの報告でもフコイダンは安全性の高い成分であることが示唆されています。

今回の過剰摂取安全性試験では、オキナワモズク由来フコイダンを含む試験食品を1日2000mg、4週間継続して摂取させたところ、対照食品摂取群と比較して問題となる有害事象や血液・生化学・尿検査においても安全上問題となる事象は認められませんでした。

以上のことから、オキナワモズク由来フコイダンは安全性の高い食品であることが結論づけられました。

 

まとめ

フコイダンを含んでいる海藻は古くから食べられていて、多少食べ過ぎても大丈夫ではということは感覚的に感じていましたが、この研究によって具体的な数字がわかりましたね。

ちなみに、過剰摂取安全性試験で2000mgとしたのは、過去の研究で500mgで便通改善効果が認められたため、その数量を目安にして4倍量で設定したとのことです。

モズクはヘルシーでもあるので、食べるときは量はあまり気にしないようにしたいと思います(笑)。

では、またの投稿をお楽しみに。

参考文献

オキナワモズク由来フコイダンの健常成人における長期および過剰摂取安全性試験 ープラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験ー , 友利ほか, 薬理と治療 vol45 no.3 2017

 

イメージテキスト

本場・沖縄県で、オキナワモズクやフコイダンの生産と研究開発に積極的に取り組むサウスプロダクトが、その魅力や特性を科学的にわかりやすくご紹介。
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