成分の9割は○○!オキナワモズクの栄養学

モズクのお話

こんにちは。

オキナワモズクには機能性成分であるフコイダンが含まれていることは有名ですが、
その他にはどんなものが含まれているのでしょうか。

今回は、オキナワモズクに含まれている成分についてまとめてみました。

はじめに

私たちが生きていくためには、食べることで食品に含まれている栄養素を摂る必要があります。

基本となる栄養素には、糖質(炭水化物)、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルがあります。
それらは5大栄養素と言われています。

それぞれの栄養素には、体をつくったりエネルギー源になるといった役割があります。

『5大栄養素の役割』
・糖質、脂質:エネルギー源になる
・たんぱく質:体をつくる
・ビタミン、ミネラル:体の調子を整える

 

オキナワモズクの基本的な栄養成分

食品に含まれている成分に関するデータは、「日本食品標準成分表」として文部科学省で調査・公表されています(文部科学省のサイトから確認することができます)。

この「日本食品標準成分表」に、食品100gあたりの成分の含量などが示されています。

以下の表は、2015年版の食品標準成分表(7訂)で示されたオキナワモズクの栄養成分です。
ビタミンはわずかに含まれていますが、微量のため省略しています。


このデータから、オキナワモズク100g中の96.7gは、水分ということがわかります。

次に多いのが、食物繊維の2.0gです。
オキナワモズクに含まれる食物繊維のほとんどが、機能性成分「フコイダン」です。

また、カロリーが6kcalと低くヘルシーです。
ご飯(白米)100gあたりのカロリーが170kcalであることを考えると、その低さがよくわかります。

ちなみに、「日本食品標準成分表」は2020年度版が出ていますが、成分に大きな変化はありませんでした。

塩蔵モズクと冷凍モズクでの違い

オキナワモズクを保存する方法として、塩蔵保存と冷凍保存があります。

塩蔵保存は、モズクを塩につけ込みモズクに含まれる水分を出すことによって腐敗を防ぐ保存方法です。冷凍保存は、収穫したばかりのモズクを海水がついたまま(または海水を流してから)、冷凍させる保存方法です。

保存方法の違いで栄養成分に違いが出るのか、調べたデータがあります。
これは、凍結乾燥によって水分を除いた固形分の栄養成分分析を行なって比較しました。



脂質や炭水化物では大きな違いはみられませんでしたが、
タンパク質が塩蔵では大きく減少していました。

一方、フコイダンの含量はほとんど変わっていません。
塩蔵保存、冷凍保存に関係なくフコイダンを摂ることができます。

塩蔵保存はオキナワモズクの特徴である食物繊維(フコイダン)に影響を与えないため、オキナワモズクの優位性を生かした保存法であるといえます。


収穫時期による違い

オキナワモズクは、一般的に3月〜5月頃に収穫されます。

この収穫時期の始め、3月あたりの早い時期に収穫される若いモズクは、「早摘みモズク」と呼ばれています。早摘みモズクが成長して太くなると、一般的に流通されている「熟モズク」になります。

この収穫時期の違いで、栄養成分に違いがあるのかを調べたデータがあります。



早摘みモズクは3月初旬に収穫したもの、熟モズクは4月下旬に収穫したもので分析しています。
それぞれを比べてみると、栄養成分に大きな変化は見られませんでした。

ちなみに、早摘みモズクは細い形状をしていて繊細なため、塩蔵すると溶けてしまい塩蔵保存することはできません。
そのため、早摘みモズクは冷凍保存で主に流通しています。

フコイダン以外の機能性成分

食品には、主に3つの役割があります。

・「栄養」としての第一次機能
・「おいしさ」としての第二次機能
・「体の調子を整え、よくする」第三次機能


第三次機能の「体の調子を整え、よくする」役割は、一般的に「機能性食品」として注目されています。

オキナワモズクの機能性食品はフコイダンが有名ですが、そのほかにも、フコキサンチンやフコステロールなどの成分が含まれていることが明らかになっています。

フコキサンチン

フコキサンチンは、赤色の成分でカロテノイド(色素成分)の一種です。
褐藻類(コンブやワカメなどの茶色の海藻)に特有に含まれており、抗酸化作用などの機能性が報告されています。2006年にフコキサンチンを摂取すると肥満細胞が燃焼細胞に変化する「抗肥満のメカニズム」が報告され、注目されています。

フコキサンチンは、採れたてや特別な加工を行なったモズクには数mg/100g含まれています。
しかし、極めて不安定な成分のため、塩蔵などの加工を行うと分解してしまい、通常流通しているモズクの製品にはほとんど含まれていません。

フコステロール

フコステロールは、褐藻類に特有な植物ステロール(脂質の一種)です。
血中コレステロールの低下作用や、血栓の予防効果などが報告されています。
フコステロールは極めて安定な化合物のため、塩蔵加工されたモズクの中にも数mg/100g含まれています。

不飽和脂肪酸

オキナワモズクは他の海藻の生育を阻害する成分(アレロパシー)として、不飽和脂肪酸を放出することが報告されています。
不飽和脂肪酸は、融点が低く固まらない油です。
一般的に海藻類は不飽和脂肪酸が多く、オキナワモズクも同様に、特にα-リノレン酸、アラキドン酸、EPAが多く含まれています。

その他

オキナワモズクには、抗菌作用を持つ「エラジタンニン」などのポリフェノール類(色素や苦味の成分)が含まれることが示唆されています。
しかし、含有量が少ない成分についての研究例が極めて少なく、今後の研究が期待されています。

 

まとめ

モズクはヘルシー!となんとなく思っていましたが、具体的な数字で見るとほとんど水分だということは驚きです。

また、フコイダン以外の機能性成分もいくつか含まれていることは興味深いですね。
もしかしたら、フコイダンよりもすごい機能性が発見されるかも?とちょっとワクワクしています。

これから明らかになっていくのが楽しみですね。

では、またの投稿をお楽しみに。


参考文献

長嶺竹明ほか, オキナワモズクとフコイダンのお話. 沖縄イニシアティブ, 2018(一部、図を抜粋)

イメージテキスト

本場・沖縄県で、オキナワモズクやフコイダンの生産と研究開発に積極的に取り組むサウスプロダクトが、その魅力や特性を科学的にわかりやすくご紹介。
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