こんにちは。
機能性成分の「フコイダン」。
最近はテレビでも紹介されたりと、認知度が増えてきたように感じます。
このフコイダン、海藻に含まれていますが、海藻の種類によって含有量が違うのです。
今回は、フコイダンを含む食材についてまとめました。
フコイダンは「硫酸化多糖類」
含有量の話の前に、
フコイダンの種類や構造についての情報を整理します。
そもそもフコイダンとは、食物繊維の一種です。
正確には、「硫酸化多糖類」という言い方をします。
言葉の通り、「硫酸化」された「多糖類」です。
硫酸化とは、硫酸基(構造式:-O-SO3–)という物質がくっつくこと。
フコイダンは硫酸基を持つことで、免疫などの生理活性を発揮すると考えられています。
多糖類とは、炭水化物に分類されている糖質の一種で、
単糖(糖の最小単位)がたくさん結合したものを指します。
フコイダンの構造を簡単に図にしたものが、以下です。
オキナワモズクに含まれるフコイダンの構造
フコースは、単糖の一種です。
硫酸イオンは、硫酸基のことです。
グルクロン酸(ウロン酸の一種)は、酸性を示す有機化合物のこと。
フコイダンの構造は、含まれる海藻によって異なりますが、
オキナワモズクに含まれるフコイダンは、このような形です。
フコイダンは、機能性食品として知られており、健康の維持・向上に役立つとされています。
フコイダンを含む海藻たち
以前の記事にもありましたが、海藻は3つのタイプに分類されます。
- 褐藻 : コンブ、ワカメ、モズク、ひじき など
- 紅藻 : のり など
- 緑藻 : アオサ など
フコイダンは、海藻の中では褐藻類にしか含まれていません。
世界全体では、褐藻類は1,500種(日本近海では379種)もあるとのこと。
多くの褐藻類からフコイダンが抽出されて、研究されてきました。
現在、フコイダンの原料としては、
オキナワモズク、ガゴメコンブ、メカブが多く利用されています。
フコイダンにはいくつか種類があり、
現在、構造が確認されているフコイダンは4つ。
・オキナワモズクフコイダン
・U-フコイダン
・G-フコイダン
・F-フコイダン
それぞれの構造は以下のとおりです。
フコイダンといっても、さまざまな形があります。
オキナワモズクフコイダンは、オキナワモズクに含まれているフコイダン。
U-フコイダン、G-フコイダン、F-フコイダンは、ガゴメコンブに含まれているフコイダンです。
それぞれ構造が違うため、その機能性も違ってくると言われています。
この4つ以外にも、構造が解明されていないフコイダンもあります。
メカブなどに含まれているフコイダンは、まだ詳細が不明です。
構造がわかっている4つのフコイダン、構造がわかっていないフコイダン、
これらをひとくくりにして、「フコイダン」と呼んでいます。
ひと口にフコイダンといっても、いろいろあるんですね。
そのため、フコイダンは「硫酸化多糖の総称」と定義されています。
フコイダンは「オキナワモズク」が一番多い!
フコイダンにもいろいろ種類がありますが、
どの海藻に一番多く含まれているのでしょうか?
海藻別にフコイダンの含有量を調べた情報が、過去の論文に掲載されています。
オキナワモズクが、海藻の中でもフコイダンを一番多く含んでいることがわかりますね。
モズクも同じ量ですが、全国で流通しているモズクの9割は、
沖縄で栽培されているオキナワモズクです。
よく間違えそうになりますが、一般的にモズクと呼ばれている海藻は6種類あり、
その中に、「モズク(別名:イトモズク)」と「オキナワモズク」があります。
この2つは、全く別の品種です。
モズク(別名:イトモズク)は日本海沿岸に生息しており、
生息域の南限は沖縄なので、沖縄でも生産が行われています。
しかし生産量が少なくて高価なので、流通量も限られています。
私たちが普段食べているモズクは、オキナワモズクです。
スーパーにも売られているので、手軽に食べることができますね。
まとめ
沖縄に住んでいる身としては、オキナワモズクが一番ということを誇らしく思います。
もちろん、他の海藻にもフコイダンは含まれていますので、
バランスよく食事に取り入れたいですね。
ちなみに、オキナワモズクのフコイダン含有量は、
収穫初期よりも後期の方が多いという報告もあります。
生育過程でどのようにフコイダン含量が変わってくるのか、
要因は何なのかといったところは、まだ明らかにされていません。
この研究が進めば、効率よくフコイダンを得られることができるかも!と想像してしまいました。
では、またの投稿をお楽しみに。
酒井武ほか, 機能性食品としてのフコイダン:その構造と生物活性. 藻類, 51, 19-25, 2003
長嶺竹明ほか, オキナワモズクとフコイダンのお話. 沖縄イニシアティブ, 2018(一部、図を抜粋)
山田信夫, 海藻フコイダンの科学. 成山堂書店, 2006