オキナワモズク研究の第一人者 農学博士 当真武先生(その2)

モズクのお話

はいさい!皆様!!
ちゃ~がんじゅ~ですか(お元気ですか)?
「もずく」、食べてますか?

今年は県内外の日程が珍しく重なったお盆でしたが、
御先祖さまを無事お見送りできましたか?

沖縄県内を始めお盆が過ぎてもまだまだ暑い毎日。
台風の進路も今年はちょっといつもと違い、
沖縄にはまだやってきてきません。
そのために海水温もまだ高くて、そろそろサンゴの白化現象が起き始めています。
ちょっと心配ですね・・・。

そして、人間も連日の暑さで
次第に食欲もなくなってくる人も多いかと思いますが、
そんな時におすすめなのが「もずくそうめん」!
海人の宮城さんもモズクの好きな食べ方の一つ♪といっていましたが、
作り方は簡単!

普通のおそうめんの中に、洗ったもずくをそうめんと同量いれて
麺つゆでいただくだけ!
もずくは一度ゆがいて冷やすと、ねばねばが増すので、
ひと手間かけるのもおすすめです。

残暑に向けてつるつるっと、いかがですか?

さて、それでは今回のもずくにまつわる話をお届けしましょう。

今回は、前回にひきつづき、オキナワモズク研究の第一人者、当真武農学博士のおはなしをお届けします。

沖縄県で数少ない海藻・海草研究者の当真先生は
いろいろな研究をこれまで行なってきました。
今のオキナワモズクの養殖も、先生の研究があってこそといっても
決して過言ではありません。

難しい専門用語は別として、
今回は、まず、もずくの越夏について、ご紹介しましょう。

よく、生き物を飼っていると
「うまく越冬できるといいな」なんて言葉が出てくる時があります。

越冬、それは、生き物たちが生き抜くための知恵で、
クマやカメなどは冬眠という手段で厳しい冬を乗り越えたり、
鳥たちは大きく移動をするものもいたり、
土の中や葉っぱの裏などで冬をやり過ごしたりするものもいます。
沖縄では、雪が降ることもなくそんなに気温が下がらないので
北の地方のような越冬はなく、
逆に、先の冬は『越冬ゾウ』といって、福島県の動物園のゾウが2頭、
沖縄の動物園にやってきていました。

そんな中、逆に、沖縄では暑さゆえに『超夏』する生き物たちがいます。
夏を何とか乗り越えようとする生き物です。

身近なところでは、ハチが超夏する生き物。
夏の暑さに弱いのです。(正確には、越冬もします)
暑さに参ってくると、女王蜂は産卵をすることができなくなり、
完全に止まると働き蜂がどんどん減っていってコロニー自体が消滅してしまいます。

そして、実は「もずく」も越夏をするのです。

『もずくの越夏』
果たしてそれはどんな風に行なわれるのでしょうか?

当真博士の著書「沖縄の海藻と海草」も参考にしながらご紹介すると、
オキナワモズクの基本的な生活環は
目に見える状態の世代と、
顕微鏡で見ないと見えない状態の世代の二つに分かれていることがわかります。

つまり、目に見えている状態がほぼモズクの養殖~収穫の時期で
だいたい秋、10月から梅雨時6月ごろまで。
それ以外の間は、ほんの微小な姿で過ごしているというわけなのですが、
この、微小の時期が越夏の時代でもあるのです。

この夏の微小の時期は、
だいたい、水温が25度以下、
特に20度前後まで下がってくるのまで続き、
それまでは、いわゆるオキナワモズクと呼ばれる個体に成長することはありません。
単子嚢と呼ばれるオキナワモズクの原始の個体ががたくさんつまった袋から
そのとびだしても成長しないサイクルを繰り返し、
水温が下がって条件が整うまで夏をやり過ごすというわけなのです。

これが、モズクの越夏です。

海の中で命をはぐくむべく、
次世代へとつないでいくため、
モズクのからだにもいろいろな仕掛けがつくられているのです。

 

当真博士によると、
このモズクの越夏状態の時にできる「嚢」は、
海人ならば、手でモズクを触った時になんとなくその袋があることを
感触としてわかるはずといっていました。
なんとなく、手に障るものがあるはずと・・・。
顕微鏡の世界であるのに、感触がわかるとしたら、
それはやはり、モズクのプロゆえのこと。

われらが海人の宮城さんに、そのあたり手に覚えがあるか聞いておきましょう。

では、もずくにまつわる話、
次回もお楽しみに!

(次回掲載は、 9月2日(金)の予定です)

 

取材・文 伊藤 麻由子

イメージテキスト

本場・沖縄県で、オキナワモズクやフコイダンの生産と研究開発に積極的に取り組むサウスプロダクトが、その魅力や特性を科学的にわかりやすくご紹介。
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