はいさい!皆様!!
ちゃ~がんじゅ~ですか(お元気ですか)?
「もずく」、食べてますか?
海の日を含む連休明けの沖縄県内では、
子どもたちも夏休みに入り、夏真っ盛り!!!
6月中旬から毎週末行われてきたうるま市のハーリーも、
石川ハーリー・平安座ハ―リーでいよいよラストとなりました!!
ハ―リーは沖縄県内各地の港で行われる海の行事で、
船の先に竜の頭、後方にしっぽを装飾した特別な船にのり、
漕いで進む速さを競います。
今から約600年前の琉球王朝時代に中国から伝わり始まった
というのが定説とされています。
五穀豊穣・無病息災・航海安全を祈願して行われる
このハ―リー、毎年各地の港で大いに盛り上がります。
ちなみに、我が勝連漁協のモズク海人・宮城伸一さんは
平敷屋ハ―リーに所属するようなのですが、
うるま市各地のハ―リーに毎週、顔を出しています。
きっと、うきうきするんでしょうね!
海の運動会のように・・・。
さて、それでは今回のもずくにまつわる話をお届けしましょう。
今回は、オキナワモズク研究の第一人者、当真武農学博士のお時間を
いただけるとのことで、早速会いに行ってきました。
まずは、当真博士のことを少しご紹介しましょう。
1941年に沖縄市で生まれ。
琉球大学生物学科を卒業。九州大学にて農学博士。
沖縄に戻ってからは琉球政府立水産研究所(現・沖縄水産試験場)に勤務。
その後、沖縄海洋深層水研究所初代所長、
琉球大学非常勤講師・沖縄県環境評価委員などをつとめる。
- 博士は、小さい時から海藻・海草に興味があったのですか?
いえいえ、まったく(笑)。
昆虫の方が好きでしたね。
- それが、海藻・海草の研究へと変わったきっかけは何かあったのですか?
大学の専攻の中で、何を研究しようか考えた時、
海藻や海草の基本的生活環(*1)というのは一年というスパンで短かったので、
これはいい!研究が進むと思ったわけです。
ちなみに、昆虫の方をあきらめた理由としては
昆虫の研究は生体をつかまえていろいろ調べるわけなのですが、
個体を傷つけるのにも抵抗がありまして・・・。
ちょっとこれは僕にはイヤだなと。
(*1 基本的生活環 ライフサイクル。前の世代の生殖細胞から出発し、次の世代を作るまでの一周期の過程をいう。)
- オキナワモズクの養殖研究を始められたのは、本土復帰の年だったそうですね。
1972年、5月に水産庁の指定調査研究事業に参加したことがきっかけです。
試験研究と同時に、実験機器類も整備できる仕組みになっていたので、
これまで貧弱だった研究所の整備が整えられました。
-研究はスムーズに行きましたか?
いえ、当初はオキナワモズクは文献や資料もなく、また、大型機器の不備や、
大学・国立水産研究機関からの後方支援も受けられずに安穏としました。
そうこうしているうちに、鹿児島県奄美諸島産オキナワモズクの養殖研究が
進みまして。
鹿児島県では、1957年にはすでにスタートしていて、
先に基本的生活環なども報告され参考にはなりましたが、
後発ゆえに私の興味が薄らいでしまったり(笑)。
-そんな中で、オキナワモズクの研究を継続された理由は?
『既成概念にとらわれない研究をやろう!!』
ある時、そんな風に思い直したことがきっかけです。
そのように考え直して取り組んだら、
鹿児島が見つけた生活環に納まらない重要な分野を見出したり、
同時並行に実施していた海藻・海草の野外調査の成果を
モズクに応用してみたりしているうちに
いろいろ面白いことがたくさんわかってきたんです。
まさにこの状況は
『真っ白なキャンパスに自由に絵を描ける時代』だったと思います。
- 数々の本や発表論文などを手掛けられている中、
オキナワモズクのみならず、沖縄の海藻・海草についていろいろと研究され、
それをまとめた本『沖縄の海藻と海草(自然環境・養殖・海草250種)』
を出されていますが、これ以上の本はないくらいの海藻・海草のバイブルになっていると
聞いています。
もしくは、
この本は、2012年に出版されたのですが、
出すきっかけとなったのは
『分かったことは仕舞い込んではいけない。
周囲の人々へ何かを気づかせ考える機会を作ることが大事』
という思ったからです。
- 琉球大学名誉教授の諸喜田茂充先生の書評によれば、
【沖縄県で数少ない海藻・海草研究者の当真武博士のライフワークの成果が、
オールカラー版で分かりやすく『沖縄の海藻と海草』として刊行された。
一般に海藻(草)類は、動物に比べて地味であるが、
海洋生態系で栄養潮類と太陽エネルギーで光合成を行い、
海洋生物生産の最も重要な役割を演じている。
第1部自然環境、
第2部食用海藻の養殖、
第3部沖縄の海草250種
著者は、オキナワモズク・モズク・クビレズタ(海ぶどう)・オゴノリ類など食用海藻類養殖の技術開発に多大な業績を挙げ、沖縄の水産業を刷新した。応用するには、基礎的な調査研究が不可欠であるが、著者は沖縄県水産試験場で海藻類の基礎から応用の研究に従事し、少ない研究費で一番の成果を上げている。近年、モズク類からフコイダンやフコキサンチンなど抗がん、抗腫瘍、抗糖尿病、抗肥満などの機能性物質が発見され、注目されている。大型海藻・海草(250種)のカラー写真は、同定に便利である。】
多くの人がこの本によって、沖縄の海の植物に興味をもつようになり、
かけがえのない自然海浜・干潟に関心を持ってくれるようになったら
とても嬉しいです。
さぁ、もずくにまつわる話、
次回はひきつづき、当真博士にもずくの話を教えてもらいたいと思います。
果たして、どんな実験でどんなことを発見したのか!?
お楽しみに!
参考・出版舎Mugen「沖縄の海藻と海草(自然環境・養殖・海草250種)」
伊藤 麻由子