お腹にやさしいモズクの力!フコイダンの整腸作用の検証

フコイダンのお話

こんにちは。

モズクに含まれているフコイダンは食物繊維の一つです。
食物繊維はお腹の調子を整える作用があることは有名ですが、
「フコイダン」単独でもその作用はあるのでしょうか。

今回は、フコイダンの整腸作用についてまとめてみました。


はじめに

私たち日本人の食生活は、高脂肪・高カロリーの食事形態に移り変わっており、
食物繊維の摂取量は年々減ってきています。
このような食生活習慣の背景から、健康補助食品の種類も増えており、
生活習慣病の改善を期待されている製品もあります。
その中で、フコイダンの生理活性が注目されています。

フコイダンは、モズクやコンブ、ワカメなどに含まれる粘質物の成分で、食物繊維です。
食物繊維には整腸作用があり、
摂取することは便秘の予防などに効果的であることは広く知られています。
今回は、フコイダンを摂取したときの整腸作用について調べた研究をまとめてみました。

ちなみに、ここで紹介するフコイダンはモズク由来とオキナワモズク由来のフコイダンで、
どちらも高分子フコイダンを使用しています。




フコイダン摂取後に便秘が改善

2013年に行われた研究で、壮年期27名、青年期30名にモズク由来の高分子フコイダン810mgを
4週間服用してもらい、フコイダン服用期間中に排便状況などを記録してもらいました。

その記録によると、壮年期では便秘の6名中4名、青年期では便秘の15名中10名で、
便秘の改善が見られました。

また、2016年に行われた別の研究では、
便秘傾向者66名にオキナワモズク由来フコイダンを含む食品を1日500mg、
2週間継続して摂取させると、排便状況(排便日数、排便回数、排便量)が増加しました。
排便日数と排便回数においては、
フコイダンを摂取してない期間と比較して有意な増加が確認されています。


フコイダン摂取で便の滞留時間が短くなった!?

食物繊維が食事に含まれていると、小腸で吸収されずにそのまま大腸にいきます。
大腸に到達した食物繊維は腸内細菌によって発酵され、
二酸化炭素、水素、メタンなどのガスが生成されます。
人の細胞では水素は作られないため、呼吸で吐く空気に含まれる水素は、
全て腸内細菌によって生成されたものと考えられています。
このことから、呼気中に含まれる水素ガスの変化をフコイダン摂取前後で調べました。

その結果、呼気水素ガスは、壮年期と青年期どちらもフコイダン摂取後に数値が低下しましたが
有意差はありませんでした。
フコイダン摂取前だけをみると、青年期の方が壮年期より有意に高い値になりました。

便秘等で腸内細菌に触れる時間が長くなるほど、呼気水素ガスも増加します。
有意差がなかったものの、フコイダン摂取後に呼気水素ガスが減ったのは、
便の滞留時間が短くなり便秘が改善したと考えられます。

また、フコイダン摂取前で青年期と壮年期で違いが出たのは、
青年期では便秘の対象者が多く、便の滞留時間が長いことから、
呼気水素ガスが高い値を示したのではと考えられています。


フコイダンは腸の動きを活発にする

腸が内容物を移動させる働きは、蠕動運動ぜんどううんどうといいます。
腸を収縮させたり広げたりして、内容物を先へ押し出していく動きをします。
内容物が移動するときに音が発生することから、腸音を測定して蠕動運動ぜんどううんどうを調べました。
腸音は、腸の蠕動運動ぜんどううんどうを評価する指標にもなっています。

専用の機械を用いて腸音を測定・解析した結果、
腸音のばらつきの数値は、壮年期ではフコイダン摂取後で有意に低下しました。
腸音の割合の数値は、壮年期ではフコイダン摂取後で有意に増加しました。
1分間あたりの腸音の数も、壮年期でフコイダン摂取後で有意に増加しました。

この結果から、
フコイダンを摂取すると腸の蠕動運動ぜんどううんどうが増加して、整腸効果が生じたと考えられました。

一方、青年期では有意な差が見られませんでした。
壮年期よりも青年期の方がフコイダンによる腸管反応が早い段階で生じて、
測定を行う4週間後までの間に、腸管がフコイダンに順応した可能性が考えられています。


食物繊維としての働きが整腸作用をもたらした

フコイダンは水溶性食物繊維です。
水溶性食物繊維は、腸内細菌によって分解され、
有機酸を生成して腸内を酸性化し、腸の蠕動運動ぜんどううんどうを促進させます。
腸内が酸性になると悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌を増やす助けになると言われています。
そのため、水溶性食物繊維の働きが、整腸作用に関与したと考えられます。

また、フコイダン自体に腸内フローラを調整する作用があって、
その作用が働いて整腸作用が見られたとも考えることができます。

その他のメカニズムとしては、フコイダンが高分子だったことから、
浸透圧の影響で腸に水分が集まり、腸管を刺激して蠕動運動ぜんどううんどうが活発になった、
腸管の内容物が水分を多く含み、排便しやすい状態になった、
ということも便秘の改善効果につながったという考えもあります。

 

まとめ

フコイダンに焦点をあてて調べると、整腸作用があると確認することができました。
やはり食物繊維の仲間ということで、食物繊維としての働きが現れたみたいですね。
フコイダンはオキナワモズクに多く含まれているので、
他の食材と組み合わせながら上手に摂取していきたいです。

今回の内容は、高分子のフコイダンでの結果。
低分子フコイダンの場合、整腸作用に違いが出てくるのかは、まだわかっていません。
年齢による違いとか摂取するフコイダンの種類とか、その人に合うように選べるようになってくると面白いですね。

今回の内容は、年齢によって結果に違いがありましたが、被験者に女性が多かったので
生理周期による影響も検討することが課題として挙げられていました。
また、フコイダンの免疫に関する研究では、男女に違いが出ているものもあり、
女性ホルモンが関係しているのではという推察があります。
私たちの体は、いろんな要因が複雑に関係しているな〜と感じました。


では、またの投稿をお楽しみに。  



参考文献

三好ほか, 米子医誌 J Yonago Med Ass 64, 69-77, 2013,
友利ほか, 薬理と治療, vol.44, no.11, 2016

 

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