ワクチンの働きを助ける!?インフルエンザウイルスに対するフコイダンの効果

フコイダンのお話

こんにちは。

暖かくなったり寒くなったり、季節の変わり目は体調をくずしやすくなりますね。
この時期に流行るのがインフルエンザ。
フコイダンはインフルエンザの予防を助けることが、過去の研究で明らかにされています。

今回は、インフルエンザウイルスに対するフコイダンの効果を調べた研究についてまとめました。

 

はじめに

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが人に感染することによって発症します。
インフルエンザウイルスは、現在大きく分けてA型、B型、C型が存在しており、
それぞれも小さい変異をするため、たくさんの種類があります。
主に流行するのはA型とB型です。

インフルエンザの予防法の1つに、ワクチン接種があります。
ワクチンは、そのシーズンに流行することが予測されたウイルスを用いて製造されています。
日本では、従来は3種類のウイルス株が入ったワクチンが作られていましたが、
現在は4種類のウイルス株が入ったワクチンが使用されています。

高齢者は、特に重症化しやすいことからワクチン摂取による予防が必要ですが、
抗体産生は若い人よりも高齢者の方が低いことが知られています。

 

 

海藻の一種であるメカブから抽出されたフコイダンは、
免疫機能を高める生理活性が注目されています。

ある研究では、ウイルスに感染したマウスにメカブ由来フコイダンを経口投与すると、
粘膜と血液中の中和抗体産生を増加させ、ウイルスの増殖を抑制しました。

また、メカブ由来フコイダンはNK細胞の活性化などのメカニズムを通じて
免疫機能を強化することが示されています。

そこで今回の研究では、高齢者にメカブ由来フコイダンを経口投与し、
インフルエンザワクチン摂取後の抗体産生を調べました。

試験の方法

参加者

日本に住む60歳以上の男女にボランティアとして参加いただき、
層別ランダム化プラセボ対照二重盲検単一施設試験を実施しました。

層別ランダム化は、結果に影響を与える要因に差がなくなるように考慮して割り振る方法です。差がなくなるようにしたい要因(今回は性別と年齢)を層に分け、その中でランダム化を行います。

プラセボ対照は、試験食とプラセボで比較する試験のこと。

二重盲検は、被験者(試験食を与えられる人)も試験実施者(被験者に試験食を与える人)も、試験食の内容がわからないようにした試験のこと。

単一施設は、一つの施設で実施された試験のこと。逆に、複数の施設で行われる多施設試験の方法もあります。

免疫反応を観察する試験なので、自己免疫疾患やガンを患っている人、免疫抑制薬を使用している人は含まないようにしました。


ワクチン

すべての参加者は、インフルエンザHAワクチン(2009-2010シーズン)を摂取しました。

HAというのは、赤血球凝集素(ヘマグルチニン)のことです。
A型とB型のインフルエンザウイルスの表面には、赤血球凝集素(ヘマグルチニン)とノイラミニダーゼ(NA)という糖たんぱくがあり、免疫が働くときの抗原(目印)となっています。

日本で用いられているワクチンは、赤血球凝集素(ヘマグルチニン)を抗原としてつくられています。

試験で使用された2009年-2010年シーズンの季節性ワクチンは、次の3つのウイルス株からつくられました。
・A / ブリズベン / 59 / 2007(H1N1)
・A / ウルグアイ / 716 / 2007(H3N2)
・B / ブリズベン / 60 / 2008

ウイルス株の種類は、
A型かB型か、そのウイルスが分離された国・順番・年度 によって分類されます。
H1N1やH3N2は、抗原(HA、NA)の種類を表します。

今回の試験で使用されたワクチンは、
A型 2種類と B型 1種類のウイルスに対応するワクチンということになります。

 

 

試験食

メカブ由来フコイダン(MF)グループの参加者は、
300mgのメカブ由来フコイダン(MF)と300mgの難消化性デキストリン(食物繊維の一種)を含む顆粒を摂取しました。

プラセボグループの参加者は600mgの難消化性デキストリンのみを含む顆粒を摂取しました。

二重盲検試験なので、どの試験食かわからないように、プラセボグループの試験食には微量の染色を添加してメカブ由来フコイダン(MF)と同じ外観にしました。

 

 

手順

ベースライン時(ワクチン接種前、試験食接種前)、
ワクチン接種後5週と20週(試験食接種の9週間後と24週間後)に参加者から血液を採取し、
抗体価(ウイルスを失活させる抗体の量)とNK細胞活性(免疫細胞の活性)を測定しました。

 

 

 

フコイダングループで抗体反応が増加

抗体価(ウイルスを失活させる抗体の量)を調べた結果、
ベースライン(ワクチン接種前、試験食接種前)では、3つのウイルス株に対する抗体価に
メカブ由来フコイダン(MF)グループとプラセボグループの間に差はありませんでした。

ワクチン接種の5週間後、抗体価は両方のグループでベースラインよりも高くなり、
プラセボグループよりもメカブ由来フコイダン(MF)グループの方が高くなりました。


 

B株ウイルスに対する抗体価では、5週間後と20週間後でグループ間に有意差があり、
メカブ由来フコイダン(MF)グループでは高い抗体価が維持されました。


 

 

フコイダングループでNK細胞の活性が持続

NK細胞活性を調べた結果、メカブ由来フコイダン(MF)グループでは、
ベースラインからフコイダン接種後9週間後までNK細胞活性が増加する傾向があり、
24週間後では、ベースラインや9週間後の値と大きく変わりませんでした。

プラセボグループでは、ベースラインから9週間後で大きな増加は認められず、
24週間後では、9週間後の値から大きく減少しました。

 

 

考察

今回の結果から、メカブ由来フコイダンの摂取が高齢者の季節性インフルエンザワクチンに対する免疫応答を増強することが示されました。

別の研究では、メカブ由来フコイダンをマウスに経口投与すると、NK細胞の活性を高め、インフルエンザウイルスに対する抗体産生が増強されました。

このようなメカブ由来フコイダンの効果は、免疫細胞の一種であるT細胞に作用することによって得られます。T細胞は、B細胞に抗体産生を指示する役割があり、T細胞の機能が低下するとB細胞の機能も低下します。

T細胞とNK細胞の活性は、年齢とともに低下するため、メカブ由来フコイダンがT細胞を活性化させることで抗体産生を増加させ、またNK細胞も活性化させたと考えられます。

 

 

まとめ

この研究によって、年齢とともに低下する免疫反応を
フコイダンによって改善できることがわかりました。

これはインフルエンザウイルスに対しての効果ですが、
新型コロナウイルスに対しても同じだったらいいですよね。

この研究は2013年に発表された内容です。
新たな研究情報を発見しましたら、紹介できればと思っています。

では、またの投稿をお楽しみに。

 

 

参考文献

Supplementation of Elderly Japanese Men and Women with Fucoidan from Seaweed Increases Immune Responses to Seasonal Influenza, Negishi et al, The Journal of nutrition, 143: 1794-1798, 2013、国立感染症研究所HP、厚生労働省HP

イメージテキスト

本場・沖縄県で、オキナワモズクやフコイダンの生産と研究開発に積極的に取り組むサウスプロダクトが、その魅力や特性を科学的にわかりやすくご紹介。
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